□ その時彼らは6 〜 経過報告 □

 

「どうやら、エドウィナがくたばったようだぜ」

 感情のこもっていない、盗賊風の男からの淡々とした報告。

「ホントか? 馬鹿なヤツだ」

 ケラケラ笑いながらそう反応した、棹状武器を脇に抱えた男の第一声。

「チッ、あれほど深追いするなと言っておいたのに」

 死よりも戦力の低下に憤りを感じるリーダー格の戦士。

「彼女に預けていたラルヴァンはどうなりました?」

 やはり彼女の死よりも優先するものがあるらしい僧侶。

「そっちは大丈夫なようだぜ。ちゃんと任務に就いている」

「それは、よかった。あれには手間がかかっていますから」

 僧侶らしい慈愛に満ちた笑顔が、かえって恐ろしい。

「それがよぅ、もう一つ面倒な知らせがあってな、報告に行った新人ちゃん、こっちも、くたばっちまいやがったぜ」

「あぁ、先日…ボタンが…二つ、反応して…いましたね…」

 ローブの影から抑揚のない薄気味悪い声が響く。

「お前は気持ち悪いからしゃべるな。う〜鳥肌が立つ」

 悪態をつく戦士。

「作戦が少し変わるな。折角、ガラナークに対する切り札になったものを」

「まだ、洗脳が済んでいないのに行かせた貴方の責任問題ですよ」

「まあ、済んだことは仕方有るまい。別件で取り戻すまでだ。まずは、不思議ちゃんが来る前に、この地での下準備を進めるまでだ」

「へ〜へぃ。キリキリ働かせてもらいますぜ。でも未確認情報だと、あの家にはまだ生まれたばかりの頃に捨てた双子の兄が、どっかに居るって噂ですぜ」

「あの国は、馬鹿の一つ覚えのように同じパターンを繰り返しますからね。案外この辺に捨ててたりするかも知れませんね」

「兄ということは、男か。男じゃ余り意味無いんだが。居ないよりはましか。よし、そっちも調べておけ」

「へー。全く人使いの荒いリーダーだぜ。こっちはシーフが一人減って仕事倍増だっていうのに。やってらんねぇぜ」

 

 

(『第六話 エピローグ』より ◆ 2002年9月初出)

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