□ その時彼らは9 〜 城のなかで □

 

「で、実際のところ、今回の集まった冒険者達は使えると思う?」

「騎士クラスのパーティが一組に中級クラスが3組。この短期間なら上出来ではないでしょうか」

「しかし、騎士団がクダヒとスカルシに出払っている時を狙ってくるとは、完全に内応者がいると考えて良いね」

「やはり、神殿関係者があやしいようですね。隠れやすいという条件もありますが、神殿発としか思えない情報のリークが見られます」

「ロウニリスか…良くはやってくれているんだけど…」

「むしろ、そのロウニリス様が怪しいという声が挙がるほどですので」

「まさか…いや、それも可能性の一つだね。確かに、お父様が国王になってからフィルシムもだいぶ国力を落としているから。ロウニリスほどの力があればそういう気を起こしても仕方がない、か…しかし、ホントはこんな事で、無駄なあらそいをしたくないんだけどさ」

「いえ、フィルシムの未来は貴方様にかかっております。御兄上様や御姉上様達には、残念ながら才覚がお有りではありません」

「僕は、自分より相応しいと思う人物がいれば、すぐにでも地位は譲るよ。お父様だって同じ考えさ。お母様はちょっと未練を感じるかも知れないけど(笑)。だいたいお父様が今の地位にいるのは、あるはずのない見えない力に皆がおびえているだけだからさ」

「そんなことを言ってはなりません。大体あのラーカスター様が言ってらっしゃるのですから、事実です」

「でもここ10年以上誰もその姿見た人いないよ」

「いつもどこかで見ています。そういう伝説の方ではないですか、あの御方は」

 

 

(『第十三話 エピローグ』より ◆ 2003年4月初出)

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