タイトル | : 17(19)話・変更 その2 |
投稿日 | : 2006/11/07(Tue) 17:54 |
投稿者 | : tula |
p.114
この世の憂いをすべて忘れ、ただ楽しい思いに耽る----そうした快楽を初めて味わい虜となった彼の頭の中には、ただ、隣に座っていたお嬢さんのことしかなかった。
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それでも、いつか「リップちゃん」が戻ってくるだろうと、彼は動かなかった。当然ながら、彼女は戻ってこなかった。とっくになじみの客と二階の個室に上がっていたのだ。
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セリフィアに促されて部屋に戻ると、ヴァイオラの書き置きがあった。
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ちょうどいいからセリフィアに図書館で便宜を図ってもらえることも伝えようと、一度宿に戻りたい旨をトーラファンに告げた。老魔術師は「いいものがある」と言って、自らの書斎で嬉しそうに呪文を唱えた。と、何もなかった壁際にいきなり扉が現れた。木製の片開きで、どこにでもあるようなふつうの扉だ。
p.126
カインはどうせならと、そのへんで様子を窺っていたセリフィアも呼んで、二人の口からじかに昨夜の顛末を話させた。話は、先刻の推測どおりだったが、続きがあった。泣き濡れるラクリマをなだめすかして帰したあと、セリフィアはさらにGを求めたのだった。
p.131
「わ、私……」そう言ったきり、ラクリマは往来の真ん中で泣き出してしまった。
p.142
「よければもう少し話をしないか? できればふたりだけで、ゆっくり」
と、ティバートはラクリマを誘った。ラクリマはためらったが、離れがたかったし、なにより彼女はティバートに「NO」と言うことができなかった。そうして請われるままに上の部屋へと上っていった。酒場に残った面々は、なんともいえない顔でその後ろ姿を見送った。
p.152
「『お前ら』!?」自分のことは棚に上げ、ティバートの呼び方にいきり立つGを、カインは「まぁとりあえず聞こう」と落ち着かせた。