古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

Welcome to the Andes World!


2005年7月、9月
特別公開講座の講師
マリオ・ホセ・アタパウカル先生 ペルー・ケチュア語アカデミー正会員

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アンデス文明研究会特別公開講座リポート

「ウィラコチャ・ルート」と「チャカナ」
― ケチュア語、アイマラ語からウィラコチャ像、チャカナに暗示された情報を読み解く ―

講師:マリオ・ホセ・アタパウカル先生
ペルー・ケチュア語アカデミー正会員


2005年7月16日(土)、9月17日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 「ウィラコチャ・ルート」の研究は1950年から始まり、NASAの衛星写真により、ティワナコから北西に延ばした直線上に、主要な各都市の位置関係が確認されました。「ウィラコチャ・ルート」とは、ティワナコに生じたウィラコチャ神がこの直線を北上しながらアンデス各地を文明化し、カハマルカで進路を変え、エクアドルのプエルト・ビエホで海に消えたといわれているルートです。これはチムーの神ニャイランプの伝承と一致し、同一と考えられます。この線上には、ティワナコ〜プカラ間と等間隔でクスコ、ビトコス、さらにカハマルカがあり、直線の角度は45°(度)をなしています。この45°の意味は、南十字星とアンデス・クロス(Andean Cross)と呼ばれる「チャカナ」に関係します。南十字星の短軸と長軸の長さの比は1:√2となり、√2は一辺が1の正方形の対角線の長さであり、正方形とその対角線、および√2は、それぞれ南十字星を象徴します。45°の「ウィラコチャ・ルート」も正方形の対角線であり、南十字星を象徴します。ケチュア語で南十字星を「チャカナ」または「チャカタ」と呼びます。「チャカナ」はアンデスの秩序を現すシンボルであり、ワリの織物その他に普遍的に見られます。上半分は理想的世界、下半分は現実的世界、真実の世界を表します。

 「ウィラコチャ」の「ウィラ」はケチュア語で「脂」であり、脂肪の燃焼から「火、熱」を象徴します。「コチャ」は「湖」を意味し、「ウィラコチャ」は火と水の相反する2つの力が補い合う「相互性」を象徴し、そこから命が生まれ、地上の生物に命を与える存在がウィラコチャ神ということです。ウィラコチャ像や、彫像の光と影の形態は時間やアンデスの数学的基礎となる数字など多様なメッセージが暗示されていると考えられ、それらを読み解き、検証していく研究がペルー、ボリビアで続けられています。