古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2006年7月
特別公開講座の講師
白根 全先生 カーニバル評論家・ラテン系写真家

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andes@r5.dion.ne.jp

アンデス文明研究会特別公開講座リポート

ラテンアメリカ・カーニバル巡り
講師:白根 全先生
カーニバル評論家・ラテン系写真家


2006年7月17日(月)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 カーニバル(謝肉祭)といえば豪華絢爛の大スペクタクルとのイメージが浮かびますが、その裏には日常の貧困や体制から抑圧された下層階級が、不満や反抗のエネルギーを発散できる公の場でもあるという厳しい現実があることを講師は語ってくれました。日本で唯一、世界中でも2人しかいないカーニバル評論家で、ラテンアメリカを中心に世界のカーニバルを追い続ける写真家の白根 全氏が今回の講師です。

 カーニバルは、キリスト教カトリックの宗教行事の一つの移動祝祭日で、復活祭に先立つ四旬節(日曜を除く40日間)の禁欲生活に入る直前の数日間をどんちゃん騒ぎで過ごすお祭です。教会が支配していた中世ヨーロッパで、カーニバルは地域独特の季節祭として定着していました。15世紀末のコロンブスの新大陸発見後の植民地化にともない、カトリックとヨーロッパ文化が新大陸に持ち込まれ、さらに16世紀には奴隷として強制移住させられたアフリカ系黒人文化が加わり、独自の混血文化圏が生まれました。同時に移入されたカーニバルも混血化が進むにつれて、新大陸各地で特異な発展をとげてきました。

 講師は、これら歴史の裏表などを解説しながら、代表的な地域のカーニバルを、色彩豊かな高感度写真を通して紹介してくれました。"世界各地から観光客が集まる世界最大の豪華絢爛なリオのカーニバル、その主役はファベイラと呼ばれる貧民街の住民で、1年かけて貯めたお金を3日間のカーニバルのためにつぎ込む。同じブラジルでも、最もアフリカ的な色彩を持つ旧首都バイーアでは、街全体がカーニバル会場に変身して音楽と踊りで沸騰する。中国系移民のチャルメラが不思議なテイストのサンティアゴ・デ・クーバのカーニバル。ディアブラーダという極彩色の悪魔の仮面をつけ衣装を翻して踊る、ボリビアの鉱山都市オルロのカーニバル。ドラム缶楽器スチール・パンによる100人単位のオーケストラ演奏で知られるトリニダード・トバゴのカーニバル"など楽しい講座でした。