古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

Welcome to the Andes World!


2006年8月
特別公開講座の講師
エル・コレヒオ・デ・メヒコ大学院大学教授 ビルヒーニア・メサ先生

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andes@r5.dion.ne.jp

アンデス文明研究会特別公開講座リポート
8月のアンデス文明研究会・特別公開講座が下記の要領で開催されました。

メキシコの家族形態
講師:ビルヒーニア・メサ先生
エル・コレヒオ・デ・メヒコ大学院大学教授


2006年8月26日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 多民族国家・メスティーソの国メキシコにおける様々な家族の形態について、スライドもふんだんに採りいれ、わかりやすくお話いただきました。
 現在では人口約1億人のうち、90%がメスティーソ(混血)、7%が先住民族、その他3%という構成になっているそうです。国語はスペイン語ですが、それ以外に60の異なる言語を話す先住民族がいます。スペイン人による侵略以前からこの大地に居住していた先住民族は16世紀には170語族、19世紀には全人口の60%に当る100語族がいましたが、現在では全人口のわずか7%(約550万人)・60語族に減ってしまったそうです。
ナワ語(ナワトル語)を話す人・ナワ語族 250万人、マヤ語族150万人・サポテコ語族78万人・ミステコ語族76万人、計約550万人で、主にメキシコの東南部に居住しています。こんなに激減してしまった原因は、15世紀、スペイン人による征服の後、宗教をカトリックに改宗させられ、同時にその勢力は各少数民族の風俗習慣・生活にまで影響を与えたことが挙げられます。さらに、1910年のメキシコ独立運動により、搾取されていた農民の生活は多少改善されたが、先住民の生活は相変わらず楽にはならなかったなど、政治的・経済的要因が考えられます。
 また、自分の村の生活は厳しく、仕事を求めて都会へ出稼ぎに行く先住民族、特に男性が増えてきており、それにつれ固有の民族衣装も脱ぎ捨てられ、現代社会に同化していく例もあるようです。
 しかし、各民族の誇り、固有の文化を失わず、集落を作って守り続けているのが、現在の60語族です。どの民族も共通して識字率は低く、生活も苦しいですが、女性たちはまだかなり民族衣装を捨てずに、自ら手で織りまとっている例が多いです。その織り方やスタイル・色使いなどには各民族・各部落のこだわりがあり、それをみれば一目でどこの出身か判るというのも興味深い話でした。
 受講者からたくさんの質問が出されました。例えば、家族の写真に男性の姿が少ない理由は? 男はサンダルやワラジをはいているが、女はなぜ裸足なのか? 一夫多妻制は存続しているのか? 男女の力の差についてなどなど。回答は、講師はもちろん会場からも出されました。
 また、"不思議な刑務所の島"の話やメキシコの"マッチョ・マチズモ"についてなど、興味深い話に会場が沸きました。会場全体が和やかな雰囲気に包まれ、受講者の参加度が高かったのは、夏の特別公開講座ならではの良さだと感じました。