古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

Welcome to the Andes World!


2006年11月
特別公開講座の講師
阪根 博 先生
天野博物館理事

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andes@r5.dion.ne.jp

アンデス文明研究会特別公開講座リポート
11月のアンデス文明研究会・特別公開講座が下記の要領で開催されました。

考古学者ワルテルによるピスキージョ・ビエホ遺跡発掘調査報告
―アンデス最古の遺跡か?

講師:阪根 博 先生
天野博物館理事


2006年11月10日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 チャンカイ文化のピスキージョ遺跡(複合遺跡)は現在農地化が進み、遺跡保護のために周辺地域を含めた全体の保存計画をワルテル氏がワラル市に提案。その調査途上で「シクラス」遺跡に出会った。「シクラス」という遺跡名は、ワルテル氏がつけた仮名で、この名前で発掘許可を得た。正式名はピスキージョ地域で最も古い遺跡ということから「ピスキージョ・ビエホ」と名づけられた。しかし「シクラス」別名の「ピスキージョ・ビエホ」では文化庁から許可が下りないだろうということになり、結局「シクラス」遺跡の名が通用することになった。シクラスとはトトーラ(葦)で作られた目の荒い網状の袋の中に石を詰めて、土嚢のように積み上げる形成期以前からの工法のことである。これが遺跡から多量に出土した。
 現地でこのシクラスを観察した藤澤教授(筑波技術大学)は、耐震あるいは免震工法に関係があるのではないかと考えている。今後、ワルテル氏と天野博物館は「シクラス」だけではなく、チャンカイ谷に広がる同時代の遺跡を調査していく予定である。さらに4500年も遡ることで、現在注目を浴びている「カラル」遺跡との関連で言えば、100キロも南下した「シクラス」が同じ時代の遺跡であり、しかも両遺跡の類似性が高い点は注目される。すなわち、「シクラス」の発見により、カラルに代表される文化は、この遺跡が位置するスーペ谷だけにとどまるものではなく、かなり広い範囲に広がっていたことが裏づけられたのである。