古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2014年10月の定例講座

モスキート遺跡2014年度発掘調査
講師:鶴見英成先生(東京大学総合研究博物館 助教)

2014年10月18日(土)
東京外国語大学本郷サテライト


 ペルーの北海岸に注ぐヘケテペケ川には、上流域ではワカロマ等、下流域ではプエマペ等、形成期前・中・後期にかけての遺跡が数多くあります。中流域には、ラス・ワカス等で代表されるアマカス複合遺跡やガジート・シエゴ貯水池の南岸の平原にあるモスキート複合遺跡があります。

 モスキート複合遺跡では2009年から発掘を始めました。平原西端のA基壇は土器が少ない、基壇の形がいびつである、岩絵とつながるという特徴を持ち、同じ形成期中期に属しながら、アマカス複合遺跡とは全く異なる建築でした。またその周囲には形成期早期(先土器遺跡)の建築が分布していました。2011年には、平原東端のエリアZを発掘調査しましたが、紀元前1700年代のZ1基壇は3時期にわたって更新され、小さな階段しかない構造物でありました。2014年にも引き続いてZ1基壇を発掘調査し、基壇のおおよその形状を把握しましたが、南北に長い基壇に両翼が付いた十字形で、地上から頂上までを直接つなぐ階段がなく、石塊ばかりを積み上げた崩れやすい構造で、人工遺物はほとんどありませんでした。中心に正方形の部屋があって、南側に入口が、西側にニッチがあり、部屋の内壁が黒く塗られています。この部屋を封鎖する際には、植物の葉と茎が奉納されていました。

 モスキート複合遺跡は谷の中流域にありますが、同じ谷の上流域や下流域の遺跡とではなく、むしろビルー川やモチェ川等、他の河川の中流域との間で、墓の形、岩絵の存在、土器の装飾等を共有する例があります。何故そこに神殿が出来たのかと言う疑問に対する答として、形成期には南北に続く道があって、この道が河谷と交差する中流域に神殿が作られたのではないかという仮説が得られます。この道をリャマが大量の魚介類を山に運び、山からは綿などを海岸に運んだのではないでしょうか?岩絵はこの道に沿って置かれた道標であって、時にはA基壇のように岩絵の傍から簡易な建築が発見されますがこれは旅人の宿泊施設ではないかと思われます。



*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。